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概要

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「桂花蚌」という呼び名は台湾、香港の方でも少し勘違いしてしまうメニュー名。日本の食通の方でもナマコの「腸」 「卵巣」 「このわた」の如く誤解されている事が多い。何故、「桂花蚌」と呼ばれるか 「蚌」=アサリ・蛤などの貝類を示す意味があり、赤みを少し帯びた肉質の色彩とプリプリとした特異な食感を表現するために「桂花蚌」という名を作り出したと思われる。また、桂花蚌はその希少価値から皇帝の食材の意を込めて「龍腸」とも別名されており、ナマコの内臓のイメージがあるが、正確にはナマコが自分の体を伸ばしたり、縮めたりするために使う体の中心部分で発達した大きな筋肉部位。ナマコは生命力が非常に強く、生きている化石と言われる程何億年も前から地球上に存在しており世界中で5000種以上のナマコが観察されているが、食用として利用できる種は極めて少なく資源としても保護が必要になって、 その生命力の強さ故に、驚くべき食効を秘めており、蛋白質の含有量が高く、糖質も豊富で、しかも大量のゼラチン繊維を含んでおり、宮廷料理では乾燥ナマコのことを海の朝鮮人参の意味で「海鮮」として重宝されふかひれ、干しアワビと共に中国料理での三大珍味のひとつにあげられる。中国料理の高級食材を表した【参鮑翅肚】の内の一つ鮑。鮑といっても新鮮な状態から高度な技術と豊富な知識、経験が必要とされる干し鮑、中国名【乾鮑】である。その産地で風土も干し鮑に適し、技術も世界一と言われるのが日本の岩手県吉浜で日本国内はもちろん、中国本土、特には香港に多く輸出されている。香港では干し鮑の大きさを(頭)で表し、1芹600gとし、この600gにおける乾燥状態の個数で大きさが分類され、価格が付く。しかし、当然大きさだけで値段が決まる訳ではなく日本近海でも10種類ほどの鮑が採れるが、その中で干し鮑にされるのは3種。干し鮑は大型で身に厚みがあり深いべっこう色をしている物ほど珍重され、3種の中でも特に好まれるのがマダカ鮑で作られる干し鮑で特別高価となっている。戻し方は使用方法や料理人、料理店によって異なると思うが完全に柔らかくしてから味を含ませる方法と、柔らかく戻しながら味を入れていくという方法があるが、完成品はどちらも干し鮑でしか味わうことが出来ない凝縮した旨味と風味、そして柔らかい中にも━  3  ━『 桂 花 蚌 』 の 正 体 は最 高 級 食 材 『 乾  鮑 』