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概要

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中国を代表する蟹といえば大閘蟹、上海ガニである。その中でも陽澄湖の物が最も有名。上海の北方に位置する蘇州との間にあるこの湖で養殖されたものが上質と言われている。腹側の殻を見ると雄雌の判断が容易に出来、丸い方が雌、尖っている方が雄。中国の古い言葉で[九月団臍(トワンチィ)、十月尖臍(ジェンチィ)]というものがある。この言葉は旧暦で表されているため九月が現在の十月、十月が十一月にあたる。つまり、現在でいう十月に雌がおいしく、十一月に雄がおいしい、という意味だが近年の日本に輸入されている蟹の現状は十月初めは雌は小ぶりな物が多く卵も少ない。十一月が近づくにつれ体も大きく卵の量に伴い味にも深みが増し十二月の初め頃まで楽しむことが出来る。因みに大閘蟹の大閘とはダムを意味し、旬の上海蟹の甲羅を開けた時の溢れんばかりのミソや卵の状態をいみする。産卵後の雌はやはり味が落ち、雄の方が美味となる。上海蟹は生きた物を調理する事が大前提で、蟹を食べた後には生姜茶を出すのが一般的であるが、特に活きたまま老酒に漬け込んだ「酔蟹」は味は抜群だが酒で殺菌されているものの、生食のため生姜茶は食後に必需品だ。現在では世界中で食べられるようになったと言っても過言ではない北京ダック[北京填?鴨]・・・だが、歴史をたどると、都が北京に移る以前は南京地方に技術を持った料理人が多くこの地方で有名だった料理の進化形が現在の北京ダックの原型と言われる。そのため南京の古名[金陵]の文字を使い(金陵?填鴨)とメニューに記載されることもある。填鴨とは強制的に飼育されたアヒルの事を指し北京ダック用に育てられるアヒルは雛からかえった後、三ヶ月ほどで三~四㎏になる。日本で北京ダックというと焼き上げて張った皮を中国味噌、胡瓜の細切り、葱の細切りを包餅(中国クレープ)で包んで食べるのが一般的だが、本場中国ではお客の目の前でカットした後、残った肉をスープや炒め物等の料理にして提供するのが日本との違いの一つである。「北京?鴨」には≪掛爐=あぶり焼き≫、≪蒸し焼き≫の二つの技法がある。中 国 秋 の 味 覚 『 上 海 ガ ニ 』━  1  ━元 々 は 南 京 料 理 ? 『 北 京 ダ ッ ク 』