ブックタイトル湯・炒・爆・炸・煮・澱・蒸の定義

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概要

湯・炒・爆・炸・煮・澱・蒸の定義

「蒸」の技法は、材料の色、形を崩さずに加熱することができるので、包む、巻く、詰める、さらに造形的に仕上げるなど多種多様な料理に対応できる。これらの技法では、蒸した料理に白汁(塩味のスープあん)をかけて光沢を出して舌触りを滑らかにし、保温性に富んだ仕上げをすることも多い。同様の技法に、「蒸?」があるが、これは煮込み料理の応用で、主に広東料理によく使われる。「蒸」と「蒸?」の相違であるが「蒸」は直接蒸気を当てて加熱し、そのままで出す料理であり、上からあんをかけるのは味の補いなど二次的な操作である。「蒸?」はスープの中で煮込むこともできるが、崩れやすいもの、あるいは、大量に作る場合の効率性を考えて材料を蒸してから必ずあん(あるいは煮汁)扇形に並べて蒸し、上からカキ油を加えた「?汁」をかける。これは煮込んだ後に、扇形に並べることもできるので、この場合は「蒸?」の技法になる。「石榴蝦」では蒸した上から白汁をかけるが、すでに火を通した材料を球状に包んで再加熱する。これは温め直せばすぐに出すことができ、蒸して仕上げなければ形が崩れるので「蒸」の技法といえる。このような「蒸」では、あきらかに煮込むことのできない大きさのものや、飾り蒸しなどの形を生かすものなどを加熱するなどに適していることが分かる。蒸すという加熱方法は、一旦材料を入れると「火加減」と「時間」の調節によって火の通りを一定にすることができる。従って100℃の温度で蒸す場合は、比較的簡単な調理法といえる。しかし、実際にはひとつの蒸し器を使い、セイロを何段にも重ねて蒸すことが多く料理に応じて上段、中段、下段を使い分けなければならない。例えば卵豆腐のように低い温度で蒸すとき、すでにセイロの中で他の料理を蒸している場合がある。このときは卵豆腐をセイロの最上段に入れて蓋を少しずらして80~90℃で蒸す。これを「放気蒸」という。このような蒸し方には大きく分けて六つのコツがある。━  25 ━ 蒸 の 定 義25