ブックタイトル湯・炒・爆・炸・煮・澱・蒸の定義

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概要

湯・炒・爆・炸・煮・澱・蒸の定義

地方の煮込み料理について煮込みに関する技法では、それぞれの名称の持つ意味は地方によって解釈が異なりまた表現方法も違うので注意しなけれはならない。「煮る」という調理法は焼ものについで古い技法といわれていて、土器の発明以前にすでに存在していた。地面に穴を掘り、動物の皮など水のもれないものを上に広げた中に、水と材料を入れ、熱くした石を入れて湯を沸し、火を通すやり方などが行われていた。煮込み料理の基本的な技法では、煮込み時間、煮汁の量、濃度(とろみのつけ具合)、食材のやわらかさなどを把握しなければならない。煮込み料理のよさは、材料の液体の中で加熱されるため、ジューシーでやわらかく本来の味を保ち、また材料から出たうま味の一部がスープ、調味料と共に鍋の中で一体となり、コクのある滑らかな煮汁ができ上がることである。これらは、炒めもの、揚げもの、蒸しものなど、他の調理法では得難い特徴といえる。中国地方には名産と呼ばれる材料、調味料があり、それらを使って調理し、特色のある煮汁を作り出す。煮込み料理には、地方風味の濃い料理が多い。北京の「葱焼海参(ナマコの葱風味)」、四川の「麻婆豆腐(マーボー豆腐)」、「乾焼鯉魚(コイの辛味煮込み)」、「水煮牛肉(牛肉の煮込み四川風)」杭州の「東坡肉(豚の角煮)」、ハーパークーソイ江蘇の「下巴劃水(魚の下あごと尾の醤油煮込み)」、淮揚の「紅焼獅子頭(肉団子の醤油煮込み)」などは、その典型的なものであろう。広東料理では煮込みに沙鍋などという土鍋を使うことが多い。「果子狸」など肉質の硬い野味類を長時間煮込む場合は火のあたりがやわらかく、深みのある土鍋がよくさらに食卓に出す器として保温性に富み、見栄えのよい土鍋がこのまれる。土鍋は大小様々な形があるが、本来は素焼きの片手鍋で底が深い。現在では耐久性に富む底の浅い日本の土鍋がよく使われる。━   ━煮 込 み の 定 義18