ブックタイトル中国料理について

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概要

中国料理について

上海料理とは上海料理という呼び方には「上海」という一つの都市をいう場合と長江(揚子江)下流地域全体を代表させていう場合がある。揚州料理、蘇州料理と一々挙げるよりは一口に上海料理という。中国の中部、東方の長江下流地域は江蘇、浙江省にあたり「江南地方」と呼ばれている。この一帯は気候が他に比べ穏やかで水に恵まれ四季分明、日本の気候風土に最も近い。清朝末期から急速に発展した上海に比べ春秋戦国時代から栄えた文化都市が蘇州、紹興とあり鎮江、南京、無錫と古い歴史を持つ都市がそれぞれに料理の伝統を有する。江南地方全体の特徴としては「魚米之郷」の称がある通り、米や農産物、海水、淡水の魚介類に恵まれていること、四季折々の季節料理があげられる事。春から初夏にかけては筍、緑茶、じゅんさいなどの名産品がある。長江や大小の湖沼、小川から獲れる魚、蝦、蟹の種類も豊富でまた醸造業も発達して紹興の酒、鎮江の酢は有名、金華では火腿が中国一、素材を生かした淡白な料理と一方では米飯のおかずに向く濃厚な甘辛い醤油味の煮物の紅焼が目につく。代表料理には東披肉、叫化鶏、脆?、煮午絲、龍井蝦仁など上海に限っていうと小龍包、両面黄、炒麺など中国一の大都会、国際都市であるため名物料理が生まれた。地元よりも一層洗練された味で食べられる。四川料理とは四川料理というとまず辛い!本場では、想像を絶するほど辛味はきついが、中には上品で洗練された淡白な料理もあり単に辛みの強いエスニック料理だと解釈してはその奥の深さがわからない。中国の中央部を長江の流れを遡るように見ると周囲を高い山で囲まれた内陸部に四川省がある。昔から「蜀」(四川の古名)に入るのは至難とされた。自然の要塞に囲まれた大盆地だが、決して文化果つるところの奥地ではない。ただ「蜀犬日に吠ゆ」(蜀の犬は太陽が見えると驚いて吠えかかる)といわれる通り水蒸気がこもって曇天の日が多く、湿気が多い。夏は特にしのぎにくく蒸し暑さのなかで食欲をおこし体力を保つための工夫で香辛料の使用が発達した料理だろう。四筋の川が流れて合流し、長江となる四川の名が付いた。━ 48 ━